小ネタ 総耶高校学生服を太公望に披露しに来たぐだ♀とミニスカに危ないものを感じる太公望


「太公望、見て見て! 新しい魔術礼装!」

 マスターであり恋人である藤丸の部屋に、いつもように勝手に上がり込んでの帰りを待っていた時のこと。は部屋に入るなり弾んだ声を上げ、ベッドに座っていた太公望の前へと駆け寄った。

「おかえりなさい。新しい魔術礼装、僕に見せに来てくれたんですか?」
「そう、これこれ。可愛いでしょ。どう? 似合ってる?」

 と言って魔術礼装のスカートの裾をつまみ、角度を変えたり腕を広げたりして見せてくる。新しい魔術礼装が気に入ったらしく、顔は終始笑っている。

(可愛いなァ、もう)

 この姿を太公望に見せようとしてくるが可愛いし、新しい装いでテンションが上がってしまうも可愛いし、もちろん新しい魔術礼装もよく似合っていて可愛い。細い糸目がさらに細くなってしまう。
 紺のブレザーに黄色のセーター、その下の白いワイシャツは胸元の赤いリボンを引き立てている。灰色のプリーツスカートの丈は短く、白い脚に黒のハイソックスのコントラストが眩しい限りだ。いわゆる日本の学生服というやつだ。

「これ学生服だから、私はもう年齢的に着れないものなんだけど……」
「そんなことないですよ。よく似合ってます、可愛い」
「ほんと? やったあ」

 太公望が褒めると、もにっこりと笑ってくるっと回った。回ったせいで短いスカートの裾が広がり、一瞬下着が見えるか見えないかの際どい感じになった。思わず目の前に立っているのスカートの裾を押さえた。

「り、……今ちょっと危なかったかも」
「え? あ、パンツ見えた?」
「見えそうでした。ただでさえ生脚が目の毒なので、見えないように気をつけて」
「ああ、うん、普段はできるだけ気をつけてるよ。けど、いざって時はそんなことに構ってられないからなあ。魔術礼装のスカートの丈が短いのって、結局走り回りやすいからが一番の理由だし」
「うーん……まあ、非常時は仕方ないんですが……」

 そりゃあ命の危険が迫っている時にパンチラなんて気にしてられないだろうが。そもそも、子鹿のような脚が太ももの際どいところまで露出しているのも、太公望としては危ういと思わざるを得ない。どの魔術礼装も丈が短いものが多いとしては、脚の露出はあまり気にならないのかもしれないが。

(こんなにイケナイ感じなのになァ……)

 けしからんと思いつつ、裾から手を離しての太ももをさわさわと撫でる。の顔がみるみるうちに赤くなっていった。

「た、太公望……なんか、手つきがえっち……」
「え? あ、そういうつもりじゃ……いえ、やっぱりそういうつもりだったかも」

 生脚けしからんという思いが、無意識に手つきに表れていたかもしれない。脚から手を離すと、の腰を抱き寄せた。

「おいで、

 太公望が導くままに、が太公望の膝の上に腰を下ろす。彼女を横抱きにして顔を覗き込むと、の赤い顔がさらに赤くなった。

「知ってます? ずっと昔は、女性の脚が今よりもずっと性的なものとして見られていたんですよ」

 膝の上の白い太ももに手を這わせながら言うと、がきょとんと目を瞬いた。

「え、そうなんだ?」
「ええ。昔は大体丈の長い服装で、脚が露出することなんてないでしょう? だから、生脚を見せることは、今で言うと胸部を見せることと同じか、それ以上に性的な意味を持っていたんです。現に、仙人が女性のふくらはぎを見てしまったことで惑い、たちまち神通力を失ってしまったという逸話もありますしね」
「へえ……じゃあ、太公望もそう思ったりする?」
「うん?」
「その……ほかの女性サーヴァントとかの生脚見て、そう思ったりする?」

 今度は太公望が虚を突かれる番だった。が不安そうに見つめる中、切れ長の目を丸くした。

「それは……考えたことがなかった、ですね」
「え?」
「僕にとって、そういう対象はだけなので、ほかの女性をそんな目で見たことがないというか……考えもしませんでした」
「そ、そうなの?」
「フフ……それだけのことで頭がいっぱい、ということでしょうか。なんだか照れますね」
「……!」

 以外の女性を性的対象として捉えることがないのは、それだけに心底惚れているということなのかもしれない。図らずしも自分がにベタ惚れということを告白してしまい、照れくさくて頬をかいた。も、思わぬところで太公望の想いの深さを知り、胸元のリボンと負けず劣らず頬を紅潮させた。
 赤い頬にくちびるを寄せ、の太ももに乗っていた手をゆっくりと股の内側に移動させる。がぎゅっと目をつぶった。

、可愛い」
「た、太公望……」
「ふふ……もし、あなたの脚に欲情して力を失うことになっても、僕は本望ですよ」
「そ、そんなのダメだよ……」
「大丈夫。この僕は影法師にすぎないので、そんな心配はないですよ、たぶん」
「ほんと?」
「ええ。第一、欲情どころかもっとすごいことしてる時点でなにも影響がないですし!」
「ま、まあ、それもそっか……」
「そうそう。だから、ね」
「あ……ん、」

 膝の上の華奢な体をさらに引き寄せて、目の前にあるくちびるを奪う。はすぐに太公望に体を委ね、くちびるを薄く開ける。その隙間から舌を送り込むと、湿った感触とともにの体温が舌先に伝わってくる。
 軽く舌を絡めて口を離すと、の顔がとろんとしていた。太ももを触られ続けていたことと太公望の告白もあって、のほうもかなりその気になっている。
 本当なら、このまま後ろのベッドに押し倒して愛し合いたいところだが、今はまだおやつの時間を過ぎたところだった。この時間から忙しいマスターを閨に引き込むのはさすがにまずいだろう。夜のふたりの時間までお預けにせざるを得ない。

「この魔術礼装、後で僕が脱がせてもいい?」

 制服のリボンをつまみながら聞くと、が顔を真っ赤にしながら小さく頷いた。金茶の瞳は、この時間から致す流れにならずに済んでどこかほっとしたような色と、夜の時間の行為を期待するような色が混じっている。そんなが可愛くて少し憎らしくて、余計に離れがたくなってしまう。

(影だから力を失うことはないだろうけど、元始天尊様には怒られそうだなァ……でもまあ、この僕はあくまでのサーヴァントだし)

 遠い仙境でなにもかも見通しているはずの師のことは頭の片隅に追いやる。そろそろを手放さなければならないというところで、最後に軽くのくちびるを吸った。


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