ふたつの熱にはさまれて こぼれ話


※前の話のギルちゃんとぐだ♀の百合ックスのみ


「マスター、起きろマスター」

 マイルームで寝間着姿でうとうとしていたは、聞き覚えのある声に起こされて目を覚ました。目を開けると、白磁の肌と長い金髪、赤い蛇の目が視界に飛び込んできた。先日、キャスターギルガメッシュと子ギルの企みによって生まれた女のギルガメッシュ、ギルちゃんだった。

「ん……ギルちゃん……?」
「やっと起きたか。魔力を寄越せ、マスター」
「え? いきなりどうしたの……? 話の流れが読めないんだけど」
「あいつが……男の我が魔力を寄越さんのだ! 我はあいつから生まれたもの、あいつの魔力が動力源だとわかっているはずなのに……! 用が済んだらさっさと消えろと言わんばかりではないか!」
「ええ……そうだったんだ……」
「我はサーヴァントではないし、もしサーヴァントでもカルデアの霊基に登録されておらんから電力での魔力供給もない。よって、男の我からの魔力がないと動けぬ。だかあいつは何度言っても聞く耳を持たんのだ! ぬうぅ腹立たしい、そんなにマスターを独り占めしたいのか!」
「うーん……とりあえず、魔力をあげればいいのかな?」
「うむ、我に献上せよ。許す」

 と言うと、ギルちゃんはの肩に手をかけて、顔を近づけた。薄く色づいているのくちびるに視線を落とすと、そっと自分のそれを重ねた。

「ん……ちゅ、っ……ん、」
「……マスター、口を……」
「う、ん……あっ……ん、は……」

 開かせたの口の隙間から、ギルちゃんの舌が滑り込んでくる。思わず引っ込めたの舌を探り出して、絡みついて、引っ張って、舌先をすぼめて舌裏をくすぐってくる。ぴちょぴちょ、との唾液がかき混ぜられる音が口内に響いて、舌の愛撫と相まってひどくいやらしいことをしている気分になった。ベッドの上に座っているのに、腰が抜けてしまうような感覚が襲い、思わずギルちゃんの肩に縋りつく。すると、ギルちゃんもの背中に腕を回して抱きつき、の胸に自分の胸を押し付けてきた。
 心臓の音が、相手の心臓まで直接伝わっていきそうで、落ち着かなかった。

「んっ、ふっ……ギル、ちゃ、んっ……」
「ん、ちゅっ……じゅる、どうした、マスター……魔力供給の、最中だぞ」
「ぁんっ……だっ、て、どきどきして、へん……」
「やっぱりマスターは我が好きなのだな。どきどきするということは、そういうことだ」
「え、そうなのかな……?」
「そうだぞ、いい加減認めるがいい。それより、もっと、んっ……」
「ん、ふっ……ちゅっ……ぁっ……!」

 再び口付けられ、舌を絡め合った。とろみがついた唾液がふたつの舌の間で糸を引いて、ギルちゃんはその糸も逃さずに舐めとっている。

「あっ、そん、な、ギルちゃ」
「マスターも、服など脱いでしまえ」

 と言って、着ていたキャミソールをたくし上げられた。目を開けてみると、ギルちゃんはすでに全裸だった。元々服の意味があるのかどうなのかという服装だったが、隠れていた場所が露わになった。たわわな上に美乳な乳房と、見事な脚線美を描く下肢、そして下腹部が。

(やっぱり、ギルちゃんの体を見るとどきどきする……他の人には、そんなことないのに……)

 恋人であるキャスターのギルガメッシュの体は未だに恥ずかしくて直視できないのだが、それは好きな相手だからだ。そう考えると、ギルちゃんに対してどきどきしたりえっちな気分になるのは、やはり性的な対象として好いているからなのか。

「いやらしい顔をして、我に見惚れているのか? よいぞ、存分に見るがいい」
「……そんな顔してた?」
「していたとも。我に触れたくてしょうがないという、欲にまみれた顔をな」
「う……ま、まあその通りなんだけど……なんか、恥ずかしい……」
「恥じることなどない。我もちょうどマスターに触れたいと思っていたところでな。触り合いっこするか」
「触り合いっこ……ん、あっ……」

 またくちびるが重ねられた。ちゅぱ、ちゅう、と吸い付いては深く舌が入り込んできて、は精一杯その動きに応える。ギルガメッシュとは舌の大きさが少し違って、ギルちゃんは舌が薄く長い。かき混ぜられる感触も微妙に違っていて、男と女では違うのだなあとぼんやりと思う。
 キスのかたわらで、ギルちゃんはのブラジャーを外し、まろび出た胸を揉んだ。その感触では薄らと目を開き、ギルちゃんの胸に手を伸ばした。
 あたたかくて柔らかくて、けれど弾力がある豊かな乳房。白磁の肌にはシミひとつ、傷ひとつない。女として羨ましい限りである。の肌は所々傷跡が残っているし、自分で触ってみた感じでは、キメの細かさも滑らかさも遠く及ばない。つい凝視してしまう、そんな綺麗な肌をしていた。
 くちびるに吸い付きながら、お互いの胸を触り合いっこしていると、ギルちゃんがくちびるを離し、の首筋に赤い痕を残しながら胸元まで下がっていき、ゆるく立ち上がっている胸の頂点を口に含んだ。

「あっ……! あ、ぁん、ギル、ちゃんっ……」
「いやらしい声だ。マスターはここが本当に敏感だな?」
「は、ぅっ……ん、ふ、あぁっ……ちくび、感じちゃう、ふ、あっ」
「愛い反応だ。どれ、もっと吸ってやろう」
「あうっ……!」

 ちゅぱ、ちゅっ、ぢゅうっ、と乳首に吸い付いたかと思うと、尖った舌先でぐりぐりと押し潰される。空いた片方の乳首も人差し指でくりくりと早いスピードでこねられて、はたまらずに高い嬌声を上げる。腰をくねらせて快感に耐えるが、ギルちゃんの手とくちびるは休まることがない。あまりの快感に、ギルちゃんの背中に爪を立ててしまう。はっとして背中から腕を離すと、ギルちゃんがむっとした顔をした。

「マスター?」
「ご、ごめん、つい爪立てちゃって……痛かったよね」
「いや、この程度痛いうちにも入らん。むしろもっと爪を立ててもよいぞ? マスターが我で快楽を感じた証拠だからな、男の我にでも見せつけてやる」
「えっ……それは確実に私が後で痛い目にあうやつじゃ」
「ふん、妬かせておけ」

 ギルガメッシュはギルちゃんを基本的に放置しているが、目の前で彼女がにくっついたりするのは気に食わないようだ。ギルちゃんがの部屋に入り浸っているので、毎晩のようにマイルームに通っていたのを中断している。こんなふうに淫らな行為をしていることがバレたら大目玉である。
 恋人に内緒でこんなことをしているというのも、浮気のようで気が引ける。だが、魔力供給ならば仕方ない。パスを繋いだわけでもない間柄では、性行為が一番効率がいいのだから。

「考えごとか。今は我に……魔力供給に集中しろ」
「ひゃっ!?」

 などと自分に言い聞かせていると、ギルちゃんが機嫌を損ねて飛びかかってきた。ベッドに押し倒されると、キスで口を塞がれた。

「ん、んんっ、ちゅっ……」

 ひとしきりの口の中を撫で回したギルちゃんは、の上から退くと、隣に体を下ろした。横向きに寝転んで向かい合うと、胸から腹へ、腹から太ももへ、太ももから股間へ愛撫をする。もその動きに追従して手を下ろしていく。
 茂みをかき分けて指を奥へと進めると、そこはしっとりとしていた。ギルちゃんの指が自分の潤っているそこをなぞるのを感じながら、も敏感な突起に触れた。

「あっ、あ、ん……」
「ギルちゃん……ここ、気持ちいい?」
「ん……もっと……」
「うん……私も、あっ、感じちゃう……」

 くりくり、と突起を指でいじめたり、割れ目の汁を指で絡めとったり。同じ女であるから、どこをどんな具合にいじればよいのかがわかる。激しい動きではなくて、優しく、じわじわと。もっと、もっと触ってほしいと、渇望してしまうような、優しい動きで。そんなじれったくなるような優しさの中での一瞬の激しさが、たまらなく気持ちいいのだ。
 お互いの秘部から、くちゅくちゅ、といやらしい音が聞こえてきた。女どうしで互いの性器を触り合いっこするなんて。そんな淫らな経験をすることになるなんて、ギルガメッシュと恋人になった時も、ついぞ予想しなかったものである。
 目の前に、の指によってぬるい快楽を与えられ、頬を紅潮させて見悶えるギルちゃんの姿がある。赤い瞳は潤み、時折焦れったさに眉根を寄せる。もっと、もっとして欲しい。そう訴えるかのような。
 体をいっそう寄せて、指を中に入れた。潤みきった中は、あったかくてぬるぬるしていて、不思議な感触だった。直後に、の中にもギルちゃんの指が一本入ってきた。

「あっ……! ふ、あ、マスター……」
「んっ、う、入ってる、ギルちゃんの指っ……」

 お互い中に指を入れつつも、主に動かすのは突起をいじる親指だった。敏感な芽を押し潰したりこねたりするたびに、中がひくつき、うるおいを増していく。女のそこをいじるのも指を入れるのも初体験のだったが、自分がギルちゃんにいじられて気持ちいいと感じることを同じようにギルちゃんに施す。ギルちゃんの頬が紅潮し、ねだるように腰をの指に押し付けてくることから、ギルちゃんも気持ちいいのだろう。嬉しくなって、薄く開いたギルちゃんのくちびるに吸い付いた。

「んっ……は、マスター……ぁ、ん……!」
「ふ、ぅん……ちゅ、ギルちゃ、気持ちいい……?」
「ん、いいぞ、だから、もっと……」
「あっ、ん、私も、あうっ……!」

 それからしばらく言葉もなく、ただひたすらお互いのくちびるを吸い合い、股間をいじり合う時間が続いた。マイルームの白い空間には、甘い嬌声と陰部をいじり合っている卑猥な水音だけが響いている。の脳はますます目の前の美しい肢体のことしか考えられなくなる。股間に伸びた腕とは別の腕を細腰に伸ばし、腰やわき腹を撫でさすると、ふさいだくちびるの奥で甘い吐息が漏れた。お返しとばかりに股間の指を動かされ、の腰も揺れた。

「あっ、ひ、あんっ、もう、イ、くぅっ……!」
「んっ、はあ、っ……我も、あっ、あぁんっ……!」

 がびくびくと体を痙攣させて達した。後を追うようにして、ギルちゃんもの指に腰を押し付けて達した。荒い息もそのままに、目の前にあるくちびるに、どちらともなくキスをして、熱い吐息と唾液を交換する。ギルちゃんの舌がの舌を吸うと、の体の倦怠感がいっそう増した。魔力を吸われたのだ。

「はあっ、は、んっ……も、だめ、」
「ん、もっと……と言いたいところだが、これ以上魔力を取るとあいつに気づかれそうだな。仕方ない、今日はこれで我慢する」
「うん……あっ、ギルちゃ、やぁんっ……」

 おとなしく聞き分けてくれたことにほっと胸をなで下ろしていると、ギルちゃんがの上にのしかかってきた。息を整えたギルちゃんが、赤い瞳を不敵に細めてを捉えている。細く長い指が、の肌を滑っていく。

「だが、こっちはまだいけるだろう、マスター?」

 蠱惑的に光る瞳に捕らわれて、しなやかな指に官能を刺激されて。はなすすべもなく、その誘いに頷くしかできない。

「いい子だ。もっと我を求めろ、マスター」

 ギルちゃんの白い背から長い金の髪がさらりと流れ、の肌へと降りる。その淡いくすぐったさと、口をついばむくちびるの柔らかさを、目を閉じて感じる
 ギルガメッシュと男女関係になってから減った睡眠時間は、当分の間さらに減ることになりそうである。


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