ふたつの熱にはさまれて


※お題箱より「王様♀と賢王様のサンド」


「マスター、起きろマスター」

 マイルームで惰眠をむさぼっていたは、聞き覚えのない声に起こされて目を覚ました。
いつもを起こしに来る後輩の声でもなく、かといってこの部屋に入り浸っている最古の王でもない。高く澄んでいるのに凛々しい口調である。声自体はきれいなのに、言葉を聞くとかっこいい。聞き覚えがない声だった。
 このカルデアには職員のほかに、と契約した数多のサーヴァントがいるが、その中のどれにも当てはまらない声。怪訝に思ったが目を開けると、そこには、見慣れない──いや、正確には見慣れているが、いつもと性別が違う顔がそこにはあった。

「やっと目を覚ましたか。休息なぞ百年早いぞ」
「…………おう、さま……?」
「どうした、もう我の顔を忘れたのか?」

 の視界に入ってきたのは、いつものキャスターの格好をしたギルガメッシュである。蛍光灯の光を反射してきらきらと光る金髪と、の寝ぼけ顔を映す赤い瞳、黄金律の整いすぎた顔の造形。
 ただ、いつも見ているギルガメッシュの顔とは違い、顔のラインがほんのりと丸みを帯びていて、まつ毛がいつもより長い。金の髪は背中まで伸びている。
 その毛先を追うようにして視線を下に下げると、

「……お、おっぱいがある!?」

 立派な乳房があった。女として羨ましい限りにたわわで、しかし下品な大きさではなく、あくまで黄金律に則った大きさの乳房が。いつもの丈が短い上着は、かろうじて乳房の頂上を隠している。ハリのある乳房は形も美しく、上着の下の乳首もさぞかし美しい色をしているのだと想像させる。
 は混乱のあまり、ギルガメッシュ(仮)の胸を両手で鷲掴みにした。この美しいおっぱいは果たして本物なのか。それが気になったのである。

「っ、おい、なにを……」
「え、ええぇ? 王様おっぱいあるよ? なんで!?」

 ふにふにと手のひらに余る乳房を揉む。この弾力、この柔らかさ、この温もり……間違いない、おっぱいだ。

「ま、マスター、やめんか」
「え、……え!? おっぱい!? なんで!? 柔らかい……」

 大きな乳房を下から持ち上げるようにして一心不乱に揉んでいると、ギルガメッシュ(仮)がふるふると体を震わせた。やがて、顔を真っ赤にしての肩を押し、ベッドへとを押し倒した。

「ひゃっ」
「ええい、いい加減にせんか! 我が玉体をなんと心得るか! 無遠慮に揉みまくりおって……!」
「あ、ご、ごめんなさい……つい気になって……」
「……ふん、そんなに我の女体が気に入ったか? 当然だ、黄金律の我が体、たとえ同性であっても惹きつけて止まぬのだからな」

 と言って、怒っていたはずのギルガメッシュ(仮)が艶然と微笑んで、の上に乗ってきた。の二の腕から肩にかけて両手でなぞり、顔をゆっくりと近づける。わざとの顔にかかるように吐かれた息は、生暖かくて、湿っぽくて、色で例えるなら桃色がついてそうな、いやらしい吐息だった。細く長い指で腕と肩を撫でられ、ギルガメッシュ(仮)の赤い瞳と、朱を引いたようなくちびるが迫ってきて、今度はが顔を赤くする番だった。

「え、ああああの、王様? 王様なんだよね?」
「我以外に見えるのか?」
「いや見えないけど、なんで女の子なの!?」
「なに、ちょっとした戯れだ。気にするでない」

 そんなこと言われても気にしないでいられるか。目が覚めたら恋人が突然女になっていた、これがそう簡単に流せたら苦労はしない。
 の戸惑いもよそに、ギルガメッシュ(女)はの頬を両手で包み込んで、さらに顔を近づけてくる。それこそ、くちびるを少し突き出せばキスできそうなほどに。

「ギ、ギル……?」
「マスター、我の目を見ろ」

 目を。が至近距離にある赤い色をのぞき込むと、奥の一番濃い赤が、弾けて広がった。
 その様子が、とても不思議で。目の前の赤い色のことしか考えられなくなって。
 動かなくなってしまったのくちびるを、すかさず奪われる。

「ん、ちゅっ……ぁ、はあっ……」

 柔らかいくちびるがのくちびると触れ合い、リップ音を立ててついばむようなキスを繰り返す。だんだんと深く重なりあい、舌がくちびるの隙間から滑り込み、のそれに絡みつく。いつもと同じ、ギルガメッシュとのキスのはずなのに、違う人とキスをしている気分になるのは、性別が違って体も違っているからなのか。妙にどきどきしてしまって、キスだけで息が上がってしまう。

「はあっ、ん、っ……」
「どうした、キスだけでそんなにとろけた顔をして」
「……なんか、変だよお……どきどきして、えっちな気分になっちゃう……」

 上に乗ったギルガメッシュ(女)の胸と、の胸がちょうど重なっている。の忙しない鼓動が直に伝わっているのか、またはの顔が情事の際の顔になっているのか。ギルガメッシュ(女)はにやりと口角を上げると、の両腕を持ち上げて、自分の腰へと導いた。はされるがまま、ギルガメッシュ(女)の華奢な腰を抱く。

「貴様は、女の我を見た時からこの体に興味津々だったな。この体がよほど欲しいと見える」
「えっ、ち、ちが」
「隠さずともよい。そら、この胸をとくと味わうがよい」
「むぎゅ、んん〜っ」

 顔が温かくて柔らかいものに包まれた。直後にずしりと顔に重量がかかり、はそこから逃れようと首を振ったが、ギルガメッシュ(女)はの頭を抱え込んでしまった。押し付けられる乳の圧から逃れることができず、は顔全体でギルガメッシュ(女)の胸を味わうこととなった。
 谷間に鼻先を埋める。両頬を柔らかく弾力のある乳房が包み、温かくて気持ちがいい。香油かなにかの花のような匂いと若干の体臭が混ざりあって、なんとも言えない匂いが鼻をくすぐる。思わず両手で乳房を挟み込んでぱふぱふしたくなった。ギルガメッシュ(女)にがっしりと頭を抱き込まれている上に、時折窒息するくらいに胸を押し付けてくるので、強制ぱふぱふ状態だったが。
 さすがに息苦しくなり、腰をとんとんと叩くと、やっと解放してくれた。

「ぷはっ」
「どうだ、天国を味わったか?」
「別の意味で天国に行きそうになっちゃったけど、いいにおいで、気持ちよかった……」
「であろう、であろう。もっと触れてもよいぞ、許す」
「う、うん……」

 ご満悦のギルガメッシュ(女)の許可が出たので、重そうに垂れている乳房に触れてみる。服の下に手を差し入れると、乳房の頂上の粒の感触が手のひらに伝わってきた。少し立ち上がっているそれを指の股に挟むようにして、乳房を揉む。

「、マスター、もっと、強くしてもよいのだぞ」
「え……こう?」
「そうだ、下から持ち上げるように、ん……」

 言われたとおり、下から重い乳房を持ち上げるように揉み、乳首を時折挟み込んでやると、ギルガメッシュ(女)が甘い吐息を漏らした。彼女が興奮したように上着を脱ぐと、胸を隠していたものがなくなり、その美しい形が顕になる。
 象牙色の滑らかな肌が綺麗な円を描いた女の胸。頂上を飾る薄いピンクの乳首が、の指によって芯を持ち、立ち上がっている。親指でその芯をコリコリと潰してやると、ギルガメッシュ(女)の細腰がおののいた。

「んっ、マスター……」
「すごい、きれい……王様のからだ、きれい……」

 うっとりとが言葉をこぼす。片肘をついてわずかに上体を起こすと、吸い寄せられるようにピンクの乳首を口に含んだ。

「あ、ン……っ」
「ちゅっ……ん、王様……」

 の口の中に収まった乳首を、舌で優しく撫でる。時折固い先端を舌先でこねると、ギルガメッシュ(女)がの髪に指を絡ませた。

「は、ぁ……マスター、こちらも」
「うん……」

 もう片方の乳房を差し出され、は躊躇いなくそちらの乳首を吸う。ちゅ、ちゅぱ、と音を立てるたびに、ギルガメッシュ(女)の悩ましい息がの髪をくすぐる。
 滑らかで、ハリがあって、それでいてキメが細かい白い肌。夢中で乳首に吸い付いた。ギルガメッシュ(女)はの髪を梳きながら腰を動かし、股間をの体に押し付けて快楽を得ていた。

(女の人の体って、気持ちいいんだ)

 見ているだけでもきれいで、触れると気持ちがいい。男に抱かれる快楽を知ったのはギルガメッシュと恋人になってからだが、まさか女の体をまさぐる快楽も得ることになるとは。人間、生きていると予想もしないことの連続である。
 ギルガメッシュ(女)の乳房を堪能すると、またギルガメッシュ(女)がをベッドへ押し倒した。キスで唾液を交換しながら、が着ていた服を手際よくくつろげていく。飾り気のない白のブラジャーを外すと、ぷるんと形の良い乳房がこぼれ出る。これまでのキスとギルガメッシュ(女)への愛撫で、触ってもいないのに乳首がツンと立っている。ギルガメッシュ(女)のそれよりも少し色が濃い。美味しそうに勃起した乳首を、ギルガメッシュ(女)はぱくりと咥える。

「ひゃ、ん、王様、ギルぅ……」

 くちびるが触れただけでびくりと体を震わせる。乳首が敏感らしく、ここを摘まれるとたちまちに腰を揺らして淫らな顔をすることを、ギルガメッシュ(女)はもう知っている。片方を親指で弄びながら、片方をしゃぶる。舌を尖らせて先端をいじめると、がたまらないといった様子で声を上げた。

「あっ、ああっ……! そこ、やあんっ……」
「嫌なはずはなかろう? そんなに腰を揺らして、気持ちいいのだろう?」
「はうっ……ン、気持ち、いい……」

 ギルガメッシュ(女)が頭を動かすたびに、長い金の髪がさらさらと流れ、の肌をくすぐる。両の乳首への刺激と、髪の微細な刺激。が自然と股を開くと、ギルガメッシュ(女)はの股の間に体を移動させた。さらに快感を得ようと、正常位での性交のように、股間どうしをぐりぐりと押し付け合う。服の上からなのでもどかしく、焦れたギルガメッシュ(女)が右手をの股間へ伸ばし、直接そこを揉んだ。

「あっ! ああ、ん、や、あん」
「邪魔なタイツと下着も脱いでしまおうか」
「う、ん……」

 ギルガメッシュ(女)がのスカートとタイツ、そしてパンティも下ろすと、今度はがギルガメッシュ(女)の服を脱がそうと手を伸ばした。ギルガメッシュが男の時にはそんなことをしたことがないのにと、の行動が少し意外だった。それだけも興奮しているということだ。
 脱がせようとしたところで、構造がわからない服は脱がせようがなかった。ギルガメッシュ(女)の腰周りにぺたぺたと触れてみたものの、どこをどうすれば脱がせられるのかがわからず、困ったようにギルガメッシュ(女)を見上げる。の困った表情と上目遣いが可愛くて、思わずぎゅっと抱きしめて額にキスを落とすと、ギルガメッシュ(女)は魔力で編んでいた服を解いて全裸になる。服に隠されていたすらりと長い脚が露出する。なにより、が釘付けになったのは股間の茂みだった。
 髪の色よりも濃い毛が薄すぎず、かといって濃すぎでもなく股間を覆っていた。男のたくましい肉の棒はなく、腰のくびれから尻、太ももから足首まで、すべてが悩ましい曲線を描いている。まさに、神の造形であった。
 ぼうっとギルガメッシュ(女)の体に見惚れていると、当然だとでも言うかのように目を細められた。ゲートオブバビロンを展開して、手のひらほどの大きさの瓶を取り出したギルガメッシュ(女)は、蓋を開けて中身を手のひらに垂らした。

「香油だ。先ほど、貴様が我の胸に顔を埋めていいにおいだと言っていた、それと同じものだ」
「え、あっ……ん、」

 ギルガメッシュ(女)の手のひらで温められた香油が、の体を滑る。腹部から胸元、デコルテまで広げられると、確かにギルガメッシュ(女)の谷間と同じ匂いが香ってきた。

「冷たくはなかろう?」
「うん……あっ、んぅ……!」

 上半身に広げた香油を肌に塗り込めるようにして、ギルガメッシュ(女)の両手がの肌を滑る。腹部をくすぐるように、胸元を円を描くように、いたずらに乳首を掠めて。香油を塗りたくられたの白い肌が、無機質な蛍光灯に照らされててかてかと光る。肌の感触を楽しむように、の興奮を引き出すように、ギルガメッシュ(女)の手が肌をなぞっていく。

(におい、王様のにおい……えっちな気分になっちゃう……)
「あ、あっ、もっと、」
「もっと、なんだ? はっきりと言え、許す」
「……っ、もっと、えっちなとこ……触って……」

 と言うと、はおずおずと脚を立てて股を開いた。の秘所は、香油を垂らしたわけでもないのに潤んでいて、蛍光灯の光を反射していた。ギルガメッシュ(女)はまたにやりと笑みを浮かべると、香油を手に垂らした。

「そうか、上ばかりでは不公平だったな。下も、存分にほぐしてやろう」
「あ……ん、ギル、ぅ……」

 しかし、ギルガメッシュ(女)の手が触れたのは、待ち望んだ場所ではなかった。太ももから膝、ふくらはぎを通って足首まで、丁寧に香油を塗っていく。曲げていた脚を伸ばし、脚の筋肉を揉みほぐすようにして。たちまち上半身と同じように香油に塗れた。

(や、もっと、もっと上、私の、えっちなとこ……)

 ゆっくりと両脚をマッサージして、くすぐったいような気持ちいいような、ぬるい快感を与えられる。しかしが待ち望んだ場所へは、一向に触れようとしない。もどかしくて、じれったくて、は無意識に腰を揺らす。それを見下ろす赤い瞳が、可笑しそうに弧を描く。

「どうした、腰がいやらしく揺れているぞ、マスター」
「っ……、も、いいから、はやく……ここ、さわって……」
「ここ、とは?」
「いじわる……」

 するすると太ももから足の付け根にかけて滑っていた手を掴み、自分の秘所へと導く。自分でギルガメッシュ(女)の手を誘ったのに、そこに触れた瞬間、びくりと体を跳ねさせた。

「ここ……触って……いっぱい、えっちにして……」

 恥ずかしさで細っていく声は、しかしはっきりとギルガメッシュ(女)を誘っていた。顔と体を興奮と羞恥で赤く染め、潤んだ瞳で淫らな顔をする少女。ギルガメッシュは女の甲高い声で笑い声を上げると、香油をの下腹部に垂らした。

「ひゃっ……!」
「ここにもこれを塗ってやらねばな」

 とろとろと、香油が茂みを通って割れ目に垂れる。秘所全体に香油を伸ばすように、無遠慮に這い回る細い指。時折、指が意図的に敏感な突起を掠めて、は待ち望んだ刺激に歓喜の声を上げた。

「ああっ……! ん、あぅっ、そこ、んんっ……!」
「もう香油なのかマスターの淫らな汁なのか、わからなくなってしまったな」
「ああん、そこ、クリは、あっ……! だめ、感じすぎちゃう、あんっ」
「イきそうなのか? いいぞ、このままイってしまえ」
「ああっ、そんなにしちゃ、あ、ああぁっ!」

 手のひらを突起に押し付け、円を描くように動かすと、は呆気なく果てた。腰をしならせて、息を詰めた後に荒い呼吸を繰り返す。
 割れ目から出た愛液がギルガメッシュの細く長い指を汚し、美味しそうな魔力の芳香を放っていた。それをうっとりと眺めて、ギルガメッシュ(女)が口を開く。

「香油を塗る前からびしょびしょになっておったぞ。女の我の手で、こんなに溶かされてしまって」
「──まったく、淫乱になったものよな、よ」
「……!?」

 ギルガメッシュ(女)の言葉を引き継ぐようにして聞こえた男の声。ギルガメッシュ(女)が後ろを振り返ると、キャスターのギルガメッシュがふたりの痴態を見下ろしていた。

「なんだ貴様、いたのか」
「白々しいことを言うでない。最初から霊体の気配は感じていたであろうに」
「ふん、最後まで女の我にイかされまくるマスターを見ておればよいものを、のこのこと実体化しおって、何用だ」
「なに、興が乗ってきたのでな」

 と言うと、魔力でできた服を霧散させながらベッドへ近づく。絶頂の余韻で惚けていたは、恋人の姿を視界に認め、はっと意識を取り戻した。

「え……!? 王様!? なんで!?」
「なんでとはなんだ、不敬であろう」
「え、だって……そこの、女の王様が王様じゃないの……?」

 は今の今まで、キャスターのギルガメッシュがなんらかの要因で女になったと思って身を委ねていたのだが、当のギルガメッシュ本人が新たに出てきてしまったので混乱に陥っている。この、男のギルガメッシュが恋人のギルガメッシュであれば、女のギルガメッシュは一体なんなのか。カルデアにはギルガメッシュが三人いるが、アーチャーのギルガメッシュも小さいギルガメッシュも、に性行為をしかけてきたりはしない。だから、そのふたりが女体化しているわけではない……はず。
 疑問符を浮かべてギルガメッシュとギルガメッシュ(女)を見比べるに、ギルガメッシュが鼻を鳴らした。

「そのような瑣末なことを気にするでない」
「いやいや全然瑣末じゃないんですけど? ちゃんと説明して……ひゃっ!」
「そうだぞ、そのようなことは後からでもよいではないか。それよりも、もっと我でイき狂うがいいぞ、マスター」

 ギルガメッシュ(女)が、起き上がりかけたの上体を再びベッドに倒し、そのくちびるをふさいだ。くちびるにちゅぱちゅぱと吸い付くかたわらで、自分の豊かな乳房をの体に押し付けている。香油の滑りを利用して、そのまま乳房をの体に擦り付ける。胸、腹、骨盤を通って太ももへ。白く質量のある乳房がの体を撫で、長い髪がそれに連動しての体に張り付く。

「あ、ああ、ギル、なに、これ、気持ちいいっ」

 ギルガメッシュ(女)の固くなった乳首が擦れて気持ちいいのか、が甘い声を上げた。腹から胸へと滑り、乳首どうしを合わせるようにして体を重ねたギルガメッシュ(女)が、の首筋に吸い付いて赤い痕を残す。
 ギル、と呼ばれ、の脚に吸い付いていたギルガメッシュも顔を上げた。

「ギルとはどっちのギルだ」
「我に決まっているだろう! マスターは我の胸に感じているのだぞ」
「紛らわしい。よ、女の我のことはギルちゃんとでも呼べ」
「ギルちゃん……?」
「むう……勝手に決めるなと言いたいところだが、まあいい。それよりもマスター、乳首がコリコリしておるぞ。気持ちいいか?」
「んっ、きもちいい、ひ、う、ちくび、もっとぉ……」

 乳首を擦り合わせながら、ギルちゃんがの割れ目に指を差し入れた。細い指が一気に二本も入れられるが、一度絶頂したのそこは、すんなりと指を受け入れた。すぐさま三本目の指を入れられ、くちゅくちゅと音を立てて中をかき回される。

「ああっ、なか、なかにぃっ……!」
「我の指をきゅうきゅうと締め付けて、いやらしいな、マスターのここは」
「そんなに口を大きく開けて、物欲しそうだな?」
「ん、ふむぅっ……!」

 の脚から離れたギルガメッシュが、の頭を掴み、口に肉の棒を突き入れた。そのまま腰を前後に動かして口内の感触を楽しむと、半勃ちだった肉の棒はたちまちに硬さを増していった。

(く、るしい……なのに、頭がぼうっとして、中も指を入れられて、上も下も、一度に犯されて……)

 ギルガメッシュが喉を突くたびに苦しさが増すが、それでも歯を立てないように口を開け、舌を剛直に絡ませる。上にばかり意識を集中させていると、下の口から中をいじっている指が性感帯を強く押す。上と下、同時に犯されて、の理性が焼き切れていく。

「んんっ、ふ、んむ、んうっ」
「いいぞ、喉で締めろ、っ……!」
「マスター、我の指でイけ!」
「ん、んん〜〜っ!」

 ギルガメッシュがの口の中に射精し、ギルちゃんがの中を突くのと同時に親指で突起を押し潰し、が二度目の絶頂を迎えた。絶頂によって呼吸が荒くなるのに、口の中いっぱいに精液を出され、は窒息感で目を白黒とさせる。それでも精液を吐き出したりしないのは、ギルガメッシュの日頃の教育によるものだ。

「ん、は、ぁ……」
「またイってしまったな、マスター。我が女でも、こんなに溶かされてしまって……」
「まったく仕方のない女だ。だがまだ意識があるようだな」

 意識があるだけで、息も絶え絶えの状態なのだが、それにも構わずにギルガメッシュはの両足を開かせ、そこに体を割り込ませる。それを見たギルちゃんが、ぎょっと目を剥いた。

「待て、マスターは我と十分に気持ち良くなったのだぞ! さらに犯そうとするとは、鬼か貴様!?」

 一度射精してもまだ屹立を保っている肉棒を、すっかりギルちゃんに溶かされてしまった割れ目に擦り付けるギルガメッシュ。手柄を横取りされるような感じがして、思わず嫉妬で眉を釣り上げたギルちゃんの抗議を、ギルガメッシュは鼻で笑い飛ばした。

「は、だからだが? 我がコレでを真に狂わせるところを指をくわえて見ているがいい」
「は、ああっ……! ギ、る、うぅっ……!」

 の中に、ズブズブと男の剛直が入っていった。まだ息も整わないまま、女の細い指とは比べ物にならないモノがの奥を突き上げる。

「あんっ、あっ、ぎる、おっきいのが、きてるぅっ……!」
「、いつもより締め付けおって……! 貴様が待ち望んだモノだ、どうだ、気持ちいいか?」
「いいっ、きもちいいっ……! おく、ズンズンて、あうっ、かたくて、おっきいのが、ああんっ、いいのぉっ」

 激しく腰を突き上げられ、口の端から涎を垂らして悦ぶ。その涎を逃すまいと、ギルちゃんが舌ですくう。

「マスター、男の肉棒に犯されて、こんなにいやらしい顔をして……やはり、男のほうがいいのか?」

 の痴態を見て、思わずギルちゃんがさびしそうな声を出す。直前までギルちゃんのくちびるで、体で、指で快感を得ていたのに、今はギルガメッシュに膣内を突かれてよがり狂っている。自分のしたことが上書きされてしまったようで、悔しくなってしまったのだ。
 ギルちゃんの言葉に、が首を横に振った。

「ギルちゃんの、体、あっ、すごくきもちよかった、あうっ、指も、きもちよくて、んあっ、女の人のからだでこんなになったの、はじめてなの、ああんっ」

 女の、繊細な中にあって一瞬の荒い指使いも、男の圧倒的な質量と激しさによる蹂躙も、どちらも比べがたい種類のものだ。女性の体で興奮した経験は今までにないし、性行為に及んだ女性もいない。自分からその体に触れようと手を伸ばして、どきどきして、淫らな気分になってしまったのは、ギルちゃんだからではないだろうか。ひっきりなしに快楽を与えられて、考える力がない頭であっても、はそう思った。

「マスター……ちゅ、ん、もっと、我を求めよ、マスター」
「ん、ふっ……じゅる、ぎるちゃ、ひゃうっ!」
「そちらにばかり、気を取られるでないわっ……!」

 ギルちゃんとのキスに夢中になっていると、ギルガメッシュがひときわ奥を突いた。自分が蚊帳の外だったのが気に食わなかったらしい。ごつごつと膣の奥を突き上げられ、が髪を振り乱して快楽に耐える。ギルちゃんはの乳首に吸い付きつつ、自分の股間をいじってと高みへと昇ろうとしている。

「ひ、んっ、こんなの、むりぃっ、ああっ、も、だめ、だめぇっ……!」
「マスター、イくのか? 我も、一緒に……っ」
「く、出すぞ……! イきながら我の子種を受け止めろ、!」
「ひゃ、も、イく、う、ああぁっ!」

 が体をしならせて果てると、ギルちゃんもそれを追って体を震わせた。ギルガメッシュは跳ねるの腰を突き上げ続け、やがて息を詰めた。
 三人とも荒い息を隠そうともせず、ベッドに汗で濡れた体を横たえる。の右隣に寝転んだギルガメッシュがのくちびるにキスをすると、ギルちゃんがそれを邪魔するようにに抱きついてうなじにキスをする。三人の荒い呼吸と、にふたりが吸い付くリップ音と、の溶けた声が、しばらくその場を支配する。間に挟まれ、立て続けにイかされているは、半分意識を飛ばしている。

「はぁ、ん、ぎる、んんっ……も、むりぃ……」
「貴様、いい加減に我にもキスさせろ!」
「は、の顔を見るがいい。我しか眼中に入っておらんぞ? 諦めてさっさと消えるがいい」
「あの、私を挟んでけんかしないで、」
「貴様ぁ……! 小さいほうの我と結託して我を生み出しておいて、用が済んだら消えろだと!? ふざけるな、我にもマスターを愛でさせろ!」
「ええいやかましい! これからもう一度に寵をくれてやるのだから邪魔するでない!」
「ええ……もう一回とか……む、り……」

 体力の限界を迎え、は重い瞼を閉じる。両隣がやかましいことこの上なかったが、一度目を閉じてしまえば、眠気がすぐさま降りてきた。何度も果ててしまった体はへとへとで、ギルガメッシュとギルちゃんのけんかをBGMにして、は意識を失った。



「マスター、起きろマスター!」
「ん……?」

 聞き覚えのある声に起こされて、は重い瞼を持ち上げた。視界に飛び込んできたのは、ギルガメッシュの鎖骨である。ギルガメッシュの腕を枕にして、彼の体にくっつくようにして眠っていたらしい。そして、そのの体を揺さぶっているのは、寝る前にさんざん聞いた甲高い声である。
 体を仰向けに倒して声のしたほうを見ると、ギルちゃんが素っ裸のままベッドに座っていた。なにやら拳を震わせて怒っている。

「ギルちゃん……?」
「ん……さわがしい、まだ我はねるぞ……」
「寝るなっ、起きろ! なぜ、なぜだっ……! 我と男の我とで一緒に寝たはずなのに、なぜ男の我にくっついて寝ているのだ!?」

 寝ぼけ眼のギルガメッシュを叩き起して怒鳴るギルちゃん。どうやら、がギルガメッシュに腕枕されてくっついて寝ていたのが気に入らないらしい。キャスターのギルガメッシュから生み出されたギルちゃんは、が大好きなようである。

「マスターはそんなに男の我がいいのか!?」
「え……だって、元々好きなのは王様だし……」
「なっ、なんだと……!? この黄金律の肉体を前にして、我よりも男のほうがいいと言うのか!? この体が欲しくないのか!?」
「なにをごちゃごちゃと言っておるのだ、元々こいつは我のものだ痴れ者が!」

 ギルちゃんのあまりの取り乱しように、さすがに目を覚ましたギルガメッシュがを抱き寄せる。それを見たギルちゃんがぎりぎりと奥歯を噛み締める。

「おのれぇ……! 王たる我があれほどまでに奉仕したのだぞ、我にあそこまでさせておきながら……マスターのバカ! ばかばか!」
「ぎ、ギルちゃん落ち着いて……」

 怒りのあまり顔を真っ赤にしたギルちゃんは、とうとう泣き出してしまった。さすがにかわいそうだと思ったがギルちゃんの頭を撫でると、ギルちゃんはに胸に抱きついた。

「マスター、我が嫌いなのか……?」
「え……!? 嫌いじゃない、嫌いじゃないよ……!」
「ならば好きか?」
「え、う、いやまあ、好き、だけど……」
「おい騙されるな雑種、どうせこやつは」
「そうか、好きなのだな! ならぱマスターは我のものだ!」
「えっ、ひゃあっ!?」

 の体に抱きついていたギルちゃんが、の体をベッドへ押し倒した。すかさずに馬乗りになったギルちゃんが、なにが起こったか理解しきれていないのくちびるにキスをする。するりと入ってきたギルちゃんの長い舌に上顎を撫でられて、は思わず嬌声を上げてしまう。

「んんっ……! あっ、ギルちゃ、んうっ……」
「マスター、ちゅっ、ん、んふぅ……」

 もちろん、目の前でを奪われて黙っているギルガメッシュではない。

「おのれぇ……! 我の顔で雌猫のようにこいつに迫るでないわ! 今すぐ消されたいのか貴様!」
「ふっ、マスターはもう我に情を移してしまったのだぞ? そんなことをすればマスターが悲しむぞ、それでもいいのか?」
「情を移したのではないわ! このたわけは我の顔をした貴様に絆されているだけだ!」
「ん……? 私今ナチュラルにたわけって言われた……!?」
「女の我にすっかり絆されて手篭めにされているのがたわけでなくてなんなのだ!」
「えええ……ギルちゃんを生み出したのは自分のくせに……」
「マスター、我にするなら今のうちだぞ?」
「ええい、だからその雌猫のような顔をやめんか!」

 結局、ギルちゃんは子ギルとキャスターのギルガメッシュの、「女のギルガメッシュを前にした時、はどんな反応をするのか」という好奇心から生み出されたものだった。ギルガメッシュの魔力を元に作られたもので、サーヴァントにもならない魔力の塊のようなものであるが、しっかりと自我を持ってしまったところは、さすがギルガメッシュといったところだ。
 薬と魔術の効果が切れる一週間ほどの、命が限られた存在ではあったが、とギルガメッシュを振り回すには十分だった。隙を見つけてはを押し倒して篭絡しようとしていたのだ。
 その短い期間でも、はやはり情を抱いてしまった。一週間経った翌朝、一緒に眠ったはずのギルちゃんが忽然と消えてしまい、魔力の名残しかそこには感じられなかった。
 やっぱりさびしいなあと、ギルちゃんを思って涙を流してしまったのは、ギルガメッシュには内緒である。


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