もしも太公望が理性を保てなかったら


※もしもの話。太公望が無理やり迫る話。
※誰も幸せになりません。そういった話が苦手な方は読まないほうがいいです。



 自分の見た夢が、自分の欲望をそのまま映し出していた。を、自分のものにしたい。今は、天化がいないのだ。そこまで考えて、太公望は首を振った。

(わしはなにを考えておるのだ……を、あの子を……)

 そんなことできるわけがない、と否定しつつも、頭の中に響くのは王天君の言葉だった。が欲しい。
 太公望は物音を立てぬように部屋を出ると、隣の部屋へと足をむけた。扉の前に立って、手をかける。の顔を見て、すぐに戻るのだと、自分に言い聞かせる。
 扉をそっと押すと、すんなりと開いた。無用心な、と勝手に憤慨する。誰かが忍んできたら、どうするつもりなのだろうか。太公望の心に、黒いもやがかかる。

(……誰か? 誰かが、またをわしから取り上げるのか?)

 寝台まで行くと、彼女は安らかに眠っていた。布団に抱きつくようにして、布団を両手両脚で挟んでいる。寝間着から、白い手足が露出している。昨日はひどく泣いていたようだったが、今夜は落ち着いているらしい。これも、楊ゼンのそばで泣いたせいだろうか。

……)

 ますます、太公望の心が黒くなる。ぎゅっ、と両手で絞られているかのように苦しく、熱い。の寝顔を前にして、愛しく思う気持ちが強くなる。それと同時に、苦しみも増す。
 の頬に、素手でそっと触れる。柔らかい頬だ。そのなめらかさに従って、頬から首筋へ、手を滑らせた。その首筋に、もう天化の赤い華はない。瞬間、太公望は焼け付くような欲情をした。
 布団を抱いている両手をそっと解き、布団をめくり上げる。肌蹴た寝巻きから、白い肌が見えている。ゆるくなった袷から手を差し入れ、胸のふくらみを揉んだ。柔らかく、温かい感触に、ますます太公望の熱が上がる。
 が起きないように注意しながら、ゆっくりと腰紐を解いた。寝間着をくつろげ、肩にかかっているだけの状態にする。の肢体が、暗闇にぼんやりと浮かんだ。
 太公望は、白い桃のような乳房を再び手で包み、もう片方の乳房を吸った。口の中で徐々に硬くなっていく先端を、舌で愛撫する。本当はめちゃくちゃに吸って、噛みついてやりたかったが、ぐっとこらえた。先端がこりこりしてくると、今度はもう片方を同じように口に含んだ。唾液が、ぴちゃ、と音を立てた。

「ん……ぅ」

 が、悩ましげな吐息を吐いた。一瞬、起きたかと太公望は身を硬くした。は起きたわけではなく、目を開けない。しかし、意識はうっすらと覚醒しつつあるだろう。太公望はの下腹部に手を伸ばし、下着の中に手を差し入れた。刺激を与えないように、そっと下着を下ろす。
 秘所に指を当てると、少し濡れていた。眠っていても、感じているのだ。太公望は、抑え切れない熱を感じ、自身の服を脱いだ。そして、割れ目をなぞるように指を往復させると、が脚を動かした。

「ん……あ、う」

 太公望は、今度は指を止めなかった。いまさら起きようと、もう止まらない。指を割れ目にめり込ませると、は今度こそ目を開けた。暗闇で目が慣れていないは、目を瞬かせる。しかし、何者かが自分の体を弄っていることに気がつくと、声を上げようとした。

「や……!? なに、んん!」

 太公望はの口を自分のそれでふさいだ。は必死に顔を動かし、キスから逃れようとしている。太公望はくちびるを離すことなく、手を動かして、解いた腰紐を手繰り寄せた。口を離し、の両手を一まとめにすると、腰紐で縛った。は、暴れる。

「やだっ、誰かっ」

 太公望は、左手での口をふさぎ、右手でまた秘所をまさぐった。いまだに濡れているそこは、指を受け入れる。中を優しく指で回す。は、脚をばたつかせて抵抗する。

「んうっ、んー!」
……」

 感じているのに、嫌悪感の方が勝り、抵抗する。その姿を見て、太公望は耐え切れずに名を呼んだ。その声を聞いて、が硬直する。

「え……? え? 望ちゃん……?」

 大人しくなった隙に、両脚を開かせて、脚の中心に吸い付いた。割れ目の汁を吸い取るかのように舌を動かすと、が幾分甘い声を上げた。

「そうだ、わしだよ、……」
「あっ……!? やっ、やめて……!」

 その声を無視して、秘所を舐め上げる。敏感な出っ張りを容赦なく吸うと、が腰を浮かせる。中から、汁が漏れた。

「あっ、だめっ!」

 太公望は、身を起こすと、天を向いた欲望を割れ目に擦り付けた。は、少しでも逃げようと身をよじるが、太公望の力は強く、を離さない。

「やめて、やめてよ、望ちゃん……!」
……もう、とまらぬ」

 怒張の先端を潤すと、太公望はの中へ侵入した。湿った感触と、の体温が太公望を包み、太公望は目を閉じた。渇望していた、の中にいるのだ。

「あ……やめて、抜いて、抜いてよぉ……」
……まだ、つながったばかりだぞ……」

 が、涙交じりの声で懇願するが、太公望は腰を止めなかった。止められないのだ。
 キスをしようと顔を近づけるが、は首を振ってそれを拒んだ。太公望は、ぐっと腰を進ませると、彼女の顎をつかみ、強引にくちびるを重ねた。舌で無理やり口を開かせ、口内をかき混ぜた。根元まで入った怒張を、出し入れさせる。ぬちゅ、にちゅ、といやらしい音を立てて、の秘所は太公望を受け入れていた。

……愛しているのだ、
「っ……いや、ぁ……望ちゃ、やぁ」

 太公望は、秘所から愛液が漏れ出ているのを感じ、腰の動きを早めた。奥までえぐるように腰を動かすと、から切ない声が上がる。の腰をつかみ、一層強く犯した。

「や、あん、望ちゃん、やだぁっ……!」
「ずっと……ずっと、こうしたかったのだ、おぬしを……」
「ん、んぅっ……やめて、お願いっ……! あぁっ」
「ずっと前から、こうやっておぬしを、わしのものにしたかったのだ!」
「や、だぁっ、あっ、やめてっ、望ちゃん……!」
「好きだ、誰よりも、愛しているっ……く、う、っ……!」

 太公望は、衝動の赴くままに、の中で射精した。中で、じわりと熱いものが広がっていく。は、泣き声を上げる。

「ひっ、やぁ……」
……」

 太公望は、の泣き顔にキスをした。くちびるを合わせても、は涙を流すばかりで、抵抗しない。太公望が怒張を抜くと、白いものがどぷ、とあふれてきた。その光景に、目も眩むような欲情をした。
 の手を縛っていた腰紐を解き、の体をうつぶせにした。の腰を持ち上げると、彼女は放心状態から意識を取り戻した。

「や、なに、やっ」
、もう一度わしを受け入れておくれ」

 硬さを失っていないそれを、もう一度に入れる。後ろからの挿入は、のより深いところをえぐる。

「あ、ああ……だ、め……もう、やだあ……」
「ああ、……」

 中は自分の放ったもので満たされている。太公望は満足感を覚え、腰を律動させた。の性感帯を突く体勢なのか、が先ほどより甘い声を出す。

「い、やっ、もう、やめてぇ……てん、か」

 ぎくりと動きを止める。は力が入らない体で必死に逃げようと腰を動かしている。太公望が腰をつかんでいるのでろくな抵抗にもなっていないのに、それでもなお。

「も、やだ、たすけて、天化、てんか……!」

 心に住まう愛しい男の名を呼んですすり泣く姿に、太公望の心がぐらぐらと揺れる。
 この子の目には、自分は今どう映っているのだろう。天化とは違った意味で、の唯一を向けられていたはずだ。けれど、今はどうなのだ。女の力で男の腕から逃げられるわけがないのに、必死に、天化の名を呼んで。
 の目には、太公望が映っていないのだ。映っているのは、彼女の中で太公望だったもの。突然まったく別の男に豹変してしまった、太公望という名の。

……すまぬ、すまぬ……だが、わしは、もう」
「う、あっ……! ひ、あっ、やあっ」
「止められぬ……!」

 の内股は、太公望の白濁との愛液が混ぜ合わさったもので汚れている。太公望は締め付けに耐えながら、彼女のいいところを突き続ける。嫌だと泣きながらも体だけは太公望の責めに従順に反応し、太公望を極めさせようと締め付けてくる。中からはどんどん愛液が溢れ、結合部から湿った音が淫らに響く。

「ひっ、あっ、あっ、望ちゃ、だめ、イっ……! や、だ、やああっ……!」
「く、ぅ……果てたのか、。わしも、そろそろだ」
「あうっ、あん、やだ、もう出さないで、中は、あっ……!」
「おぬしの体は時が止まっているのであろう。中に出しても子はできぬのに……」

 と天化の間に妊娠の兆しが一向になかったのだ、今更太公望が中に射精したところで孕むわけがない。が、やってみなければわからない。もし本当に太公望の子種を孕んだら、を堂々と自分のものにする口実にすることができる。下卑た考えだと我ながら呆れるが、それでもいい。この子を自分のものにできるのなら――この世界に縛り付けておけるのなら。

「はあっ、出すぞ、中に出すぞ」
「や、んっ、やめて、あっ、だめぇっ……!」
「わしの子を孕め、わしのものになるのだ!」

 やがて、容赦のない突きにがもう一度背をしならせた。一気に収縮する中を、太公望は構わずに突き続け、自身も昇り詰める。

「あっ、ああっ、やぁっ!」
「愛している、愛している、……!」

 どくどく、と怒張が脈動すると、再びの中を白濁が満たした。腰を振って、最後まで流し込む。は、力を失い、寝台へと倒れこんだ。太公望も、その上に重なった。は放心しており、静かに嗚咽を漏らしていた。
 太公望は顎をつかみ自分のほうへ顔を向かせると、くちびるにむしゃぶりついた。舌を差し入れ、口内をかき回す。彼女の反応はなく、その舌を無理やり絡みとって吸った。

、許してくれ……おぬしが、愛しくてたまらないのだ」
「ふ……うぅ……」
「もう、誰にも渡さぬ……わしのものだ、……」

 力の入らないの体を、太公望が強く抱きしめた。
 その後も、太公望は一晩中、の肌を堪能するように全身を舐め、思いのままにを何度も犯した。はもう、抵抗せず、ただ涙を流し続けていた。その瞳に、太公望が映ることはなかった。



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